硬水のメリット・デメリット7選
水はさまざまな尺度によっていくつもの種類かに分けられますが、そのうち「ミネラルの量」で分類した時の種類に含まれるのが、「硬水」と「軟水」です。日本の水には「軟水」が多くなっていますが、世界的に見れば、「硬水」も広く飲まれています。水にこだわる場合、「硬水」の特徴などについてもよく知っておきたいところでしょう。
本記事では、「硬水」を利用することで得られるメリットとデメリットの双方について解説していきますので、水選びで悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
メリット
ミネラルが豊富
そもそも硬水とは、「硬度が一定の基準より高い水」のことですが、この「硬度」とは、水1L中に含まれるミネラル(カルシウムとマグネシウム)の量を指します。「硬度が高い=カルシウムやマグネシウムが多く含まれる」というわけで、つまり硬水には、ミネラル成分が豊富であるということになります。
カルシウムなどのミネラル分は体に必須のものですが、食事だけから摂るとなると、不足しがちなのが実状です。それを水から摂取できるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
シチューなどの料理に合う
硬水を使うことで、一部の料理の味を良くすることもできます。
硬水の持つ作用に、肉の臭みを消したり、煮込んだ際にアクを出しやすくするというものがありますが、これは洋風の煮込み料理、たとえばビーフシチューやラタトゥイユなどを作る際、かなりのメリットとなります。
また、硬水は煮込み料理だけでなく、パスタやスープを作るのにも適しています。硬水のミネラルと、パスタのデンプンや野菜のアミノ酸が結合し、うまみ成分を留めるのに役立ちます。
便秘解消に役立つ
硬水を飲むことで、便秘解消効果が得られるというメリットもあります。
さきほど、硬水にはマグネシウムなどのミネラル分が多く含まれると述べましたが、このマグネシウムには、腸管内へ水分を集める作用があります。それによって便が柔らかくなるため、便秘を解消しやすくなるというわけです。ですので、サラダと一緒に硬水を摂るなどすると、一層効果的でしょう。
また最近では、この効果を利用した便秘薬(酸化マグネシウム)もよく利用されています。
動脈硬化の予防に役立つ
硬水のメリット、最後に挙げるのは、「動脈硬化の予防につながる」ということです。
動脈硬化は、血中のLDLコレステロール過剰がきっかけとなって起こります。つまり、血液がドロドロになることが原因なわけですが、こうした状態にさせないことが、動脈硬化を防ぐ上では重要になります。これに対し、マグネシウムやカルシウムといった硬水のミネラルは、血液をサラサラにして血流を良くする効果があります。それによって動脈硬化を予防するのに役立ち、ひいては、心筋梗塞や脳梗塞のリスク軽減にもつながります。
デメリット
和風料理などには合わない
一方、硬水のデメリットとしては、「料理によっては合わないこともある」ということが挙げられます。
硬水に含まれるマグネシウムには、独特の苦みや香りがありますが、これが一部の料理においては、味付けの邪魔となってしまう傾向が見られます。たとえば和風だしのような素材の風味が重要なものについては、癖の強い硬水はあまり向きません。また、紅茶やコーヒーの場合も同様に、味わいが打ち消されることが多くなっています。
それと比較すると、ミネラルが少なく癖のない軟水の方が、こうした料理や飲み物には適しています。
スケールの付着
硬水のデメリットの2点目は、「スケールが付着しやすい」ということです。
「スケール」とは、水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが析出し、器具や設備に付着したものを指します。やかんの口などに白い固形物が付いていることがありますが、そうしたものがスケールになります。水道管や調理器具などに付着すると、詰まりや腐食の原因となります。硬水にはミネラルが多いため、この問題が発生しやすくなっています。特に硬度200mg/lを超えるものは要注意です。
なお、日本のウォーターサーバーはほとんどが軟水のため、比較的スケールの付着の心配は低くなっています。
やや飲みづらい
「飲みづらさを感じることもある」という点も、硬水のデメリットの1つです。
上で述べたように、硬水に多く含まれるマグネシウムは、独特の苦みや風味を持っています。このせいで、硬水に対し苦みや口当たりの重さを感じるという人が少なくありません。味の好みは個人で異なりますが、日本の水は軟水が主流のため、人によってはかなり抵抗があるというケースもあるようです。
ただ、これも上で述べたように、日本のウォーターサーバーメーカーはほとんどの場合軟水を使用しています。ですので、飲みやすさの点ではそれほど心配はないでしょう。ちなみにウォーターサーバーの水の主な種類は、「天然水」と「RO水」の2つですが、「天然水」の方が硬度が高く、かつ見積り額も上になる傾向があります。