真空引きとは?必要な理由や作業時間、費用相場など10選

真空引きとは?必要な理由や作業時間、費用相場など10選

エアコンの取り付けや移設工事を行うにあたり、必要となる作業はいくつもあります。「真空引き」と呼ばれるものもその1つで、エアコンの正常な動作にとっては、まず欠かすことができません。ただ、エアコン工事に詳しくない人からすると、一体何の作業なのか想像がつきにくいところでしょう。

本記事では、エアコン設置に伴う「真空引き」について、その内容や必要とされる理由、具体的な作業手順、費用相場やDIYの可否などについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

真空引きとは?真空にする方法3選

エアコン取り付けや移設工事の際に行う「真空引き」とは、室内機と配管内部の空気を抜き、文字通り真空にする作業のことです。真空引きの後、室外機内に封入されている冷媒ガスを各部へ行き渡らせることで、エアコンが稼働可能な状態となります。

ガスの循環前に真空引きを行うのは、水分や窒素などを取り除く必要があるためです。それらを残したままエアコンを動かすと、後述するようにさまざまな不具合や不都合を起こすおそれがあります。

このようにエアコン設置前の真空引きは、原則として必須の作業とされていますが、細かい要領はメーカーなどにより異なります。

真空にする方法3選

真空ポンプによる真空引き

エアコン設置工事に伴い室内機や配管を真空にする方法の1つ目は、「真空ポンプによる真空引き」です。こちらは、メーカー推奨のやり方になります。

真空ポンプとは、空間内部の気体を外部へ排出する機能を持った製品です。これを使い、室内機や配管内の空気を排出し、圧力を下げるのが真空引きになります。身の回りの例で言えば、掃除機を用いて布団を圧縮させる方法と、原理的に変わりません。

こちらは前述のようにメーカーが推奨する方法で、ほとんどのエアコン業者が行っています。完全に空気や不純物を取り除くことはできませんが、不具合が発生する確率はごくわずかです。

真空乾燥

エアコン本体と配管を真空にする方法の2つ目は、「真空乾燥」です。

基本的なやり方は、上記の真空引きと変わりません。やはり真空ポンプを使って空気を排出していきますが、減圧状態の時間をより長く保つ点が特徴です。一般的な真空引きの場合、水分などがわずかに残ってしまいますが、真空乾燥ではそれらをほぼ無くすことが可能です。それにより、エアコン本来の能力をより引き出しやすい状態にできます。

単なる真空引きと比較すると、かなり入念な作業となるため、その分時間も長めとなります。業者によっては、一般家庭のエアコン設置でこの方法を取るところもあります。

エアパージ

エアコンを真空にする方法、3つ目は「エアパージ」と呼ばれるものです。こちらの方法は、エアコン設置後に室外機内の冷媒ガスを放出させ、その圧力で配管の中の空気を押し出すというものになります。

比較的手軽に行えるのがメリットで、配管を真空にするための方法としては、ある時期まで主流でした。しかし、現在このやり方は、メーカーからは非推奨となっています。「空気を十分に除去することができない」「冷媒ガスが減少する」「フロンが大気に逃げ環境に悪い」などが。その主な理由になります。

そのため、工事の依頼の際は、真空引きや真空乾燥を行う業者を選ぶ必要があります。

真空引きが必要理由

エアコン取り付けや移設工事に際して行う真空引きの内容は上記の通りですが、そもそもこの作業は何のために行うのでしょうか。ここでは冷媒ガスを循環させるにあたり、あらかじめ配管内を真空にしておく主な理由について解説します。

エアコンの故障・寿命短縮を防ぐ

エアコンの取り付け工事に際して真空引きが必要となる最大の理由が、「エアコンの故障や寿命短縮の防止」です。

空気中には水分や不純物など、エアコン各部にとって悪影響をもたらすものが混じっています。これらを残したままエアコンを稼働させれば、潤滑不良や氷結を招き、圧縮機などを損傷させてしまうおそれが強まります。また、エアコンの寿命が本来のものより短くなる可能性も高まります。

それを防ぐ作業として、配管内をできるだけ乾燥させ、窒素などを除去する真空引きが欠かせないというわけです。

電気代の上昇を防ぐ

エアコン設置時の真空引きの実施理由、2つ目は「電気代の上昇の防止」です。

配管内への空気混入は、エアコンの稼働効率の点でも大きな問題となります。配管内の空気が凍りつくことで、冷媒の通り道が狭くなり、エアコンを効きづらくしてしまうためです。このことは電気代にも影響し、空気や水分がない場合に比べると、料金は高くなります。

また、内部の空気のせいで配管が破損することもありますが、その場合は冷媒が外に漏れてしまうことにつながります。これもまた、エアコンの効きを悪くして電気代の上昇を招く要因となるので、真空引きは運転コストの上からも必須と言えます。

作業手順

エアコン設置工事における真空引きの手順、第1は「真空ポンプと室外機の接続」です。室外機側のナットを外して真空ポンプにゲージマニホールド(測定器)を装着、そして室外機とポンプをチャージホースでつなげます。

第2段階で、真空引きを開始します。真空ポンプの電源を入れ、室外機のサービスポートのバルブを開くと、徐々にゲージの数値が低下していきます。この時煙が発生することがありますが、これはオイルミストで異常ではありません。

第3段階として、ゲージの目盛りが-0.1MPaになるまで続けます。

続く第4段階では、ガス漏れの有無を調べる気密テストを行います。ポンプを止めて5分ほど放置し、目盛りの動きを監視します。もしも-0.1から動いたら、再度真空引きを行います。動きがなければポンプを外して、作業は完了となります。

作業時間

上記の手順の作業にかかる時間は、どれくらいなのでしょうか。

エアコンの真空引きに要する一般的な時間は、ポンプの運転時間を含め、全部で20分~30分ほどとなっています。推奨される時間は15分程度とされており、そのうち真空に到達するまでがおよそ2分で、残り13分ほどは、完全に乾燥させるまでの時間となります。さらに作業の後、数分~10分程度真空状態の確認が行われます。

ただ、作業には湿度などの要因が関係してくるので、時間については担当者が現場に応じて判断することとなります。そのため、実際の作業時間は、状況次第で前述の目安より長くなったり短くなったりします。

費用・相場

業者に真空引きを依頼した場合の費用相場についても見てみましょう。

真空引きは、通常エアコン取り付け工事の一工程として扱われ、単独で行われることはあまりありません。仮にオプションで行う場合は、5,000円程度が相場と考えられます。

一方、業者による真空引きは、標準工事に含められることも多くなっています。標準工事は、エアコン設置のための基本的な一連の工事で、一式いくらという形で設定されます。この中に真空引きが入るケースが一般的ですが、確実とは言えないので、依頼の際は見積り等でよくチェックしておく必要があります。
ちなみに標準工事の費用相場は、大体10,000円~20,000円となっています。

真空引きは自分でDIYしない方がいい理由

エアコンの真空引きをDIYすることは、不可能ではありません。工具や真空ポンプなど必要な物がそろっており、きちんとした手順を踏まえれば、業者に頼らず自分で行うことはできます。

ただ、実際のところDIYによる真空引きは、決してお勧めできません。特に未経験者は避けるべきでしょう。非常に複雑で精密な作業が求められることから、素人がやると冷媒漏れなどのミスを起こす危険が高いためです。また、自前で道具をそろえるための費用や手間もかかります。

最初から業者に頼んだ方が、確実性の点で安心ですし、費用や時間の面でも却って効率的と言えます。

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