室外機の設置場所7選・設置方法6選
目次
エアコンを取り付けるにあたっては、室内機のことに注意が行きがちですが、室外機の扱いについても当然考慮が必要となります。実際のところ、室外機はどこに設置してもよいというわけではなく、いくつかの条件を満たす適切な場所へ置かなくてはなりません。
本記事では、そうした室外機の設置に適した場所の条件について解説します。また、業者による室外機設置の具体的な方法についても紹介しますので、現在エアコンの取り付け依頼を考えているなどの方は、ぜひ参考にしてみてください。
室外機の設置場所の条件
室内機の近く
室外機の設置場所を考える上でまず大事なポイントが、「室内機との距離」です。
室外機と室内機は、お互いなるべく近い場所に取り付けるのが理想とされます。その主な理由は、「エアコンの運転効率への影響」にあります。室外機と室内機の間は冷媒ガスが循環しており、これが熱を運搬し室温を維持させる役割を果たしています。
しかし、あまりに室外機と室内機の距離が遠いと、両者間を行き来するガスの量が足らずに、エアコンの効きが悪くなって電気代にも影響します。
一般的には、室外機と室内機の距離は、15m程度が規定の範囲内とされます。この距離に収まるよう設置工事が行えれば、冷媒ガスの不足による影響の心配はありません。
通気が可能なスペースがある
「周囲に通気可能なスペースがあること」も、室外機設置の大切な条件の1つです。
前述のように、エアコンでは本体や配管内部の冷媒ガスが、室内外の熱のやり取りを担います。冷房の場合は、室内機が吸い込んだ熱を乗せて室外機へ送り、そこで熱を放出する際冷やされて、再び室内機へ戻るという仕組みです。その際熱を放出するにあたり、室外機周囲に空気の循環ができるようなスペースがないと、あたりに熱気がよどんで熱の排出を妨げます。ひいては余計な電力を消費することにつながるため、室外機は通気性の良い場所に取り付けるのが重要というわけです。
地盤がしっかりしていて水平な設置が可能
室外機の設置場所の条件としては、「しっかりした地盤の上に水平に置ける」という点も外せません。
エアコンの室外機は、室内機と同じく稼働時に音を立てますが、状況によってこの音が異様に大きくなることがあります。もちろん故障のせいという場合もありますが、設置場所や置き方が影響しているケースも少なくありません。不安定な場所に設置したり、傾けて置くなどしていると、稼働時の振動が増幅され騒音を立てることとなります。
地盤が安定していて、水平に置かれていれば、室内で気にならないくらいの稼働音しか出さないのが通常です。
日光や雨の直射を避けられる
室外機の設置場所の選定では、日光や雨の影響も考慮する必要があります。
エアコン室外機を効率的に動かす上で、直射日光は阻害要因の1つです。前述のように、室外機は冷房時に熱を外に逃がす働きをしますが、日光によって室外機が温められると、その働きが弱まって熱をうまく放出できなくなります。結果として、電力を余分に消費し電気代を高めることにつながります。そのため、室外機はなるべく日光があたりにくい場所に置くことが求められます。
また、室外機内部へ水が入ると故障や漏電の可能性が高まるため、雨の直撃を避けられる場所であることも重要になります。
雪などの影響を受けない
日光や雨だけでなく、雪やつららといったものの心配もしなくてはなりません。
エアコンの室外機には「フィン(熱交換器)」という部品がありますが、これは空気を冷やしたり暖めたりする重要な役割を持ちます。フィンが正常に作動するかどうかは、エアコンの運転効率に大きく影響しますが、その点で雪は厄介な存在です。積雪などでフィンに雪が付着すると、目詰まりを起こして暖房効率を低下させる確率が高まるためです。
また、つららの発生で室外機のファンが破損するおそれもあり、冬場の雪や氷は室外機にとって危険な要因となります。積雪の多い地域などでは、それらの影響を極力小さくできる場所への設置が求められます。
近所の迷惑にならない
エアコン室外機の設置場所選びでは、自身や家庭内への影響だけでなく、近隣への配慮も忘れないようにすることが大切です。
こちらにとってベストな設置場所が、他人にとっても同じとは限りません。室外機からは、稼働中温風や冷風が吹き出しますが、場合によってはこれらが大きな迷惑を引き起こすこともあります。
実際に、夏場窓を開けると隣家の室外機の風が吹き込んできたり、庭の植物に直接熱風が当たるといった経験をした人は、相当数存在します。また、夜中に室外機の稼働音が気になって眠れないといったケースも少なくありません。
隣近所へ全く影響が及ばない場所に置くのが理想ですが、どうしても多少の影響は出るという場合は、工事前に了解を得ておいた方が良いでしょう。
その他
上記の他にも、室外機の設置場所の条件には、さまざまなものが挙げられます。
室外機はテレビ等の受信状態に影響する場合があるため、アンテナから3m以上、またテレビ受像機とそのアンテナケーブル線から2m以上離れた場所に置くのが望ましいとされます。
プロパンガスを利用している場合は、室外機が火気にあたることから、ガスの容器から必ず2m以上の距離を取らなくてはなりません。
また、エアコンから出るドレン水にも注意が必要で、排水による悪影響がない場所を選ぶ必要があります。
他にも、近くで悪臭や有毒ガス、蒸気等の発生がないことや、連続して吹き出し口に強風が吹き付けることがない(ファンの故障の可能性があるため)といった事柄に留意しましょう。
設置方法
エアコン室外機の設置場所の条件は以上の通りですが、業者に設置工事を頼む場合、具体的にどういう方法が取られるのかも気になるところです。室外機の設置方法には意外に多くの種類がありますが、ここからはそれら一つ一つについて解説していきます。
直置き
エアコン室外機の設置法でもっとも一般的なのが、「直置き」と呼ばれるものです。文字通り、室外機を直接(コンクリートブロックなどの足場を用いて)地面の上に置く方法で、「地面置き」とも呼ばれます。
エアコン取り付け工事を業者に依頼した際、追加料金の必要なく行われる一連の工事を「標準工事」と呼びますが、直置きはこの標準工事に含まれます。言い方を変えると、これ以外は全て特殊設置工事ということになり、追加料金の対象となります。
直置きができる一般的な条件は、庭やベランダなど水平な地面があることや、ファンの前方25m以上に通気スペースが取れることなどとなっています。
壁掛け
「壁掛け」は、「壁面取り付け」とも呼ばれる室外機の設置方法です。名称の通り、建物の壁面に台を取り付け、その上に室外機を設置する方法になります。排水については、室外機の下からドレンホースを地面まで伸ばす形が取られます。
ベランダなどがなかったり、十分なスペースが確保できない場合でも、室外機を設置できるのがメリットです。その一方で、高所作業を伴うケースが多かったり、強風による落下の危険も否定できないなどのデメリットもあります。
また、2階以上の設置には足場の確保が必要ですが、無理な場合は施工不能となるケースもあります。
立ち下ろし
室内機と室外機は、上記のようになるべく近くに置くことが理想ですが、状況によって無理な場合もあります。室内機を2階以上の部屋に置いたのに、近くにベランダがないなどの場合もそのケースで、この時は多く「立ち下ろし」という工事方法が取られます。
この場合、室外機は室内機と異なり、1階に設置されることになります。その分距離は通常より開きますが、配管を延長することで補完します。
2階から1階までの距離であれば、配管の長さは大体7~8mほどとなります。標準工事の範囲は4mが一般的なので、延長分には追加料金が課されます。また、前述のように15mを超えると冷媒不足のおそれが出てくるので、その点にも注意が必要です。
家根置き
「屋根置き」と呼ばれるものは、一戸建ての2階へ室外機を設置する際取られることが多い方法です。屋根上に角度に応じた専用金具を取り付け、その上に室外機を設置するやり方になります。
2階へのエアコン設置で、ベランダがなく地面置きもできないといった場合には便利な施工法です。配管の長さも短く済み、見栄えも悪くないのがメリットですが、その一方で室外機が直射日光にさらされやすいというデメリットもあります。また、設置する環境によっては、高所作業料が発生する場合がある点も要注意です。
天井吊り下げ
「天吊り」とも呼ばれるこちらの工事は、ベランダの天井に架台を取り付け、その上に室外機を設置するという方法になります。天井から吊り下げる形になることから、この名前で呼ばれています。
公団住宅など、ベランダに十分なスペースがない環境で用いられることが多くなっていますが、デザインや広さを優先したいなどの場合にも採用されます。
宙に浮いている関係上、通気性が高いのがメリットですが、ベランダの位置によっては直射日光を浴びてしまうおそれがあります。その場合、日よけの工夫が欠かせません。
二段置き
業者による室外機設置法の最後は、「二段置き」と呼ばれるものです。2つの室外機を、専用金具を用いて上下に重ねる形で設置する方法になります。
エアコンは室内機と室外機1つずつの組み合わせが基本ですが、現在は室内機を2つ以上の部屋に置くことが珍しくなく、それにつれて室外機も複数設置するケースが増えました。その場合、設置場所の確保がより難しくなりますが、二段置きはそれを解決するための工事法になります。床面積を節約できるというメリットがある一方で、架台を据え付けることにより、下側の室外機の通気性が阻害されやすいというデメリットもあります。