穴あけとは?相場や注意点3選、業者の選び方4選
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エアコンの取り付けを行う際、いくつか付随する作業が必要となるケースがあります。その1つが「穴あけ」で、多くの場合は新築住宅で行われますが、中古の物件でも状況によっては必要です。とはいえ、この「穴あけ」が具体的にどういった作業を指すのか、また費用はいくらぐらいかかるのかといったことについては、多くの方が首をかしげるところでしょう。
そこで本記事では、エアコンの穴あけ工事の内容や費用相場、業者の選び方などについて詳しく解説していきます。
穴あけ工事とは?
エアコン取り付けの際の「穴あけ工事」とは、文字通り壁に穴を開けるための工事を指します。
エアコンは、室内機と室外機の2つがセットで機能するシステムです。それぞれ部屋の内外に置かれますが、お互いを配管(冷媒管)でつながなくてはならず、また室内機内の水を排出するドレンホースを外に出す必要もあります。
そのため、それら配管類を通す壁の穴が必須となります。エアコン取り付けの際、その配管穴(スリーブ)が無いなどの場合は、貫通工事が行われることになります。
一般的に配管穴は、室内機本体の背後に開けられます。内径約70㎜の穴を開けることで、配管類を通すことができます。
相場
エアコン取り付けにおける穴あけ工事は、1ヵ所までであれば、標準工事の範囲内となるのが通常です。標準工事はエアコン設置の基本的な工事で、一般的には「穴あけ(1ヵ所まで)」のほか、「室内機・室外機の取り付け」「配管・電線の接続」「真空引き(エアパージ)」「試運転」という内容となります(具体的な内容は業者によって微妙に異なります)。
この場合の費用相場は10,000円~15,000円で、穴あけによる追加費用はかかりません。
ただ、穴あけが標準工事に含まれない場合や、2ヵ所以上の穴を開ける場合、特殊な壁材に穴を開ける場合などには、追加費用が必要です。
こうした場合の費用相場は、木造・モルタルが1ヵ所につき2,000円~3,000円、ALCが1ヵ所につき3,000円~4,000円、コンクリート壁が1ヵ所につき12,000円~15,000円、タイル・レンガなどが1ヵ所につき7,000円~9,000円などとなっています。
すでに穴がある場合、工事は不要
穴あけ工事は、エアコン取り付けに際して必ず行われるわけではありません。上で説明したように、まだ穴が開いていない場合などに必要なもので、多くの場合新築の住宅において行われます。既存の住宅の場合、大抵はすでにエアコン取り付け・取り外しが行われていて貫通スリーブもあり、したがって穴あけ工事も通常は不要です。
ただ、中古住宅でも例外となるケースがあります。
1つは既存の穴の位置が高すぎる場合で、このケースでは水漏れが起こるおそれがあるため、別の位置に穴を開けることが求められます。もう1つは、「加湿ホース付きエアコン」を設置する場合です。こちらは標準的な穴では大きさが足りず、拡大加工のための工事が必要になります。
また、築年数が古い家などでは寝室や和室などに穴がない場合もあるので、その際にも穴あけ工事が必要となります。
穴あけ工事前に知っておくべき知識
上ではエアコンの穴あけ工事の内容と費用相場などについて説明しましたが、実際に穴あけ工事を行うにあたっては、いくつか事前に踏まえておくべきポイントがあります。この項目では、そうした穴あけ工事に伴う注意点について解説します。
賃貸での穴あけ工事は大家さん等へ確認を
エアコン設置で穴あけ工事が必須の場合、持ち家であれば、誰にも断らず自由に行うことができます。しかし、賃貸物件だとそうはいきません。物件を所有しているのは他の人なので、まずは大家さんや管理会社に工事の許可をもらう必要があります。
賃貸物件を借りている側には原状回復義務があり、退去の際は、入居時と同じ状態にしておくのが原則です。壁に穴を開けるのは原状を大きく変更する措置なので、勝手に行うと契約違反となり、賠償責任を問われる可能性が高まります。契約で「エアコン取り付け自由」となっている場合でも、事前の確認はしておくのが無難です。
穴あけはなるべく業者に依頼する
エアコン設置の費用をなるべく抑えたい場合、「穴あけくらいなら自分でできるのでは」という考えが浮かぶかもしれません。しかし実際のところ、DIYによる穴あけ工事はおすすめできない行為となっています。
その主な理由は、リスクの高さにあります。スリーブはどこに設けても良いわけではなく、適当な位置に開けると、建物の構造に重大な影響を与えるおそれがあります。また、準備にかかる費用や手間から見ても、DIYでの穴あけは決して効率的とは言えません。
また、配線や筋交いなどを傷つけてしまう可能性もあります。
手元に工具類が豊富にあり、知識や技術、経験も十分という人でない限り、穴あけはプロの業者に任せるのが最善でしょう。
「窓用エアコン」の選択肢も
「大家さんの許可がもらえなかった」「構造上、壁に穴を開けることができない」などの理由により、穴あけ工事が不可となることもあり得ます。そうした場合の選択肢としては、「窓用エアコンを取り付ける」というものもあります。
こちらは文字通り、窓に設置するタイプのエアコンで、「取り付け・取り外しが比較的簡単」「設置場所を選ばない」などのメリットがあります。その一方で、「広範囲の使用には不向き」「壁掛けタイプに比べ電気代が割高」「稼働音が大きい」などのデメリットもあるため、導入にあたっては十分な検討が必要です。
失敗しない穴あけ工事の業者選び方
上で述べたように、穴あけ工事は自分で行うよりも、業者に任せた方が断然安心です。しかし、業者ならどこでも良いというわけにはいかず、依頼先の選定には慎重さが求められます。ここからは、穴あけ工事の業者選びで失敗しないためのポイントを4つ挙げて解説します。
電気工事士資格の有無
穴あけなどのエアコン設置工事を業者に依頼するにあたっては、「電気工事士の資格を保有しているかどうか」が選定の1つの基準となります。
エアコンの取り付け工事は、一般的なものであれば、特別な資格などは不要です。そのため、知識や技術さえあれば取り付け自体は誰でも可能ですが、設置に伴い他のさまざまな工程が付随する場合があり、その際に資格が求められることもあります。コンセントの移設・切り替えや、内外接続線の壁への固定などがその例で、こうした作業は電気工事士の有資格者でないとできません。
実際に上記のような作業が必要なケースは珍しくないので、業者選びの際は、必ずホームページ等でその点をチェックしておきましょう。
アフターサービス・保証の有無
エアコン穴あけ工事を安心して任せられる業者かどうかは、保証内容を調べることである程度知ることができます。
エアコンに関する保証は、以下の3つに大別できます。1つはメーカーが設定する「メーカー保証」で、もう1つはメーカー保証の終了後も保証を継続する「延長保証」です。そして3つ目が、本体ではなく取り付け工事のミスや不具合に対し掛けられる「工事保証」になります。
工事保証は、施工不備があった場合には無料での修理対応を約束するものですが、すべての業者が備えているわけではありません。ミスを起こしやすい業者ほど設定に消極的な傾向があるので、業者選びの際は、信頼度を測る重要な目安となります。
問い合わせ対応の丁寧さ
エアコン設置は施工業者を家に入れなくてはなりませんが、残念ながら中には、担当者の接客態度が良くない業者も見られます。また、施工後に問題が発覚しても、すぐには対応してくれない業者も存在します。
穴あけ工事の業者選びでこうした業者に行きあたらないようにするには、問い合わせや見積り時の対応状況をチェックするのが有効です。その時の対応が迅速で丁寧であれば、全体として教育が行き届いていると想像でき、作業スタッフの接客態度も良好である確率が高まります。同時に、施工後の適切なトラブル対応も期待しやすくなります。
実績の豊富さ
エアコンの穴あけ工事の依頼先を探すなら、その業者の実績について調べるのも重要です。
エアコン設置は単純な作業のようですが、住宅環境などの施工条件はさまざまであり、その場の状況に合わせた適切な対応力が求められます。そうした対応力を測る指標となるのが、業者が過去に請け負った仕事の数や内容です。実績を多く積み重ねた業者ほど、技術力が高く経験値も豊富で、安心して工事を任せやすいと言えます。
実績に自信のある業者は、ホームページで大きく取り上げるなど分かりやすくアピールしているので、業者選びではその点についても注意してみましょう。