記事作成内製化とは?内製化のメリット・デメリット10選
オウンドメディアなどを通じた情報発信は、企業を始めとするさまざまな主体にとって、今や常識といってもよい施策となっています。その主な中身である記事の作成方法は、大きく外注と内製の2つに分けられますが、「これから内製化に舵を切りたい」と考えている方も少なくないでしょう。ただ、それにあたっては、内製化の長所と短所両方を踏まえておくことが求められます。
本記事では、記事作成を内製化するメリットとデメリットを5つずつ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
内製化とは?
そもそも内製化(ないせいか)とは、ある企業がそれまで外部に委託していた業務を、自社内のリソースを用いて行う体制に切り替えることを言います。英語で言う「insourcing(インソーシング)」であり、反対語は「外製化(アウトソーシング)」になります。
通常内製化の対象となるのは、ノンコア業務やシステム開発・運用などです。オウンドメディアなどのコンテンツ作成もこれにあたっており、元々記事作成代行会社などに外注していたものを、新たに内製化するケースも少なくありません。
内製化の主な目的としては、業務の競合優位性の向上が挙げられます。
メリット・デメリット
外部に委託していた記事作成業務を内製化することには、コストやノウハウ獲得などの面でメリットがあります。一方、デメリットで挙げられるのは、体制づくりの手間や専門知識の必要性などです。両方について詳しく見ていきましょう。
メリット
オペレーションが円滑になる
記事作成の内製化で得られるメリットとしては、まず「オペレーションが円滑に運ぶ」という点が挙げられるでしょう。
記事の作成に際しては、企画・構成から執筆、編集、掲載と多くの工程を経ることになりますが、関わるのが全員社内スタッフであるため、意思疎通が比較的スムーズです。ターゲット像の共有や進捗状況の確認など、密なコミュニケーションに基づく円滑なオペレーションが可能となり、短期間でのコンテンツの量産に大きく役立ちます。
ただ、こちらのメリットは、あくまで複数人から成るチーム体制であることが前提となります。
社内にノウハウが溜まる
上記のように、記事作成には企画から運用までいくつもの工程を踏まねばならず、そのそれぞれで固有のスキルが求められます。ライティング能力はもちろん、SEOやCMSの知識を身に付けていなくてはなりませんし、Webデザインのスキルも必要となります。
記事作成をすべて外注に頼っていては、これらのスキルやノウハウは社外にとどまったままです。しかし、内製化することでそれらが社内に蓄積され、ひいては全般的なマーケティング力の向上にもつながります。
外注コストを削減できる
「外注にかかるコストを削減できる」という点は、記事作成を内製化することの、大きなメリットです。
記事作成を外注した場合、かかる費用はケースにより異なりますが、大体20万円~100万円が相場とされています。一方、完全に内製化した場合は、それらの費用を支払う必要がありません。また、金銭的なコストだけでなく、委託先との各種やり取りにかかるコミュニケーションコストも不要となります。これは、非常に魅力的な利点です。
ただし後述するように、内製化では別の形でのコストがかかる点は、しっかり踏まえておいた方が良いでしょう。
社内の理解が深まる
外部委託による記事作成では「自社内の省力化」が主な目的となるため、社内でメディアに関わるのは、担当者1人という状況がよくあります。その結果、担当者と周囲の間に溝ができ、メディアの存在意義などに対する社内の理解が深まらないといったことになりがちです。
これに対し、内製化を果たせば運営関係者が増えるので、他の社員にもメディアの存在がぐっと身近になります。記事のネタを収集する際など、社内の協力を得やすいというメリットがあります。
セキュリティ強化につながる
記事作成の内製化は、セキュリティの強化というメリットももたらします。
情報漏洩は業務委託で懸念される主要リスクの1つであり、記事作成においてもそれは同様です。業務を外注する以上、委託先との情報共有は欠かせませんが、その中には顧客情報などの機密性の高いものも含まれる可能性があります。委託先のセキュリティ対策の状況によっては、そうした情報が外部に洩れるおそれが否定できません。
一方、内製化を実現しておけば、情報は社内にとどまるので、情報漏洩のリスクを最小限にすることができます。
デメリット
人材の獲得・育成が難しい
ずっと外部に任せていた業務を内製化するとなると、そのための社内リソースを確保する必要が出てきます。どんな業務であれ厄介な問題ですが、記事作成においても同じことが言えます。
上で述べたように、記事作成にはライティングだけでなく、SEOやWebデザイン、マーケティングなどの知識・スキルが求められます。効率的にこなすには複数人のチーム体制が不可欠なので、そうした人材を何人か集めてこなくてはなりません。しかし、適した人材の確保や育成には、相応の手間とコストが不可欠です。特に中小規模の企業にとっては、決して低くないハードルと言えます。
大量生産しにくい
記事作成を内製化するにあたり、最初は担当者が本業との兼務という体制になるケースが多くなっています。しかしこの場合、記事を大量に生産するのは困難です。
メディア運営において理想的なのは、あらかじめ大量の記事を作成・ストックしておき、それらを順次定期的に公開していくというやり方です。こうすることで余裕をもったコンテンツ制作が可能となりますが、本業を兼ねながらでは、実際のところそのようなゆとりはありません。担当者がスケジュールに追われつつ、記事を作成しては公開という流れを繰り返す状態となり、結果として企画がパターン化するなどの弊害が起きがちです。
専門知識が不可欠
メリットの項目では、「内製化すると社内にノウハウが蓄積される」と述べました。しかしこれは、すでに各分野における十分な専門知識を、担当者が得た状態であることが前提となります。
実際のところ、一から人材を育てて知識を習得するまで待てる余裕がある企業は、そう多くないでしょう。つまり一般的に見て、専門知識を備えた人材が見つからない限り、すぐには内製化を始められないことになります。しかも、Web関連の情報は次々に更新されていくため、日ごろから担当者にかかる負荷は相当のものです。内製化にあたっては、そうした面についても十分考慮する必要があります。
体制作りのための時間がかかる
前述したように、記事作成の内製化を成功させるには、まとまったチーム体制の用意が欠かせません。準備は、その人材を社内で集めるところから始まり、担当者への運営ノウハウ教育も必要となります。もしくは、専門知識を持つ人材の外部登用といった手段もありますが、いずれにしても十分な体制作りには、少なくない手間と時間が必要です。
そもそもオウンドメディアなどのコンテンツマーケティング自体が、成果の獲得まで時間を要する施策です。記事作成の内製化を考えるのであれば、このデメリットについても踏まえておかなくてはなりません。
モチベーションが低下しやすい
記事作成の内製化で危惧される点の1つに、「モチベーション低下のリスク」も挙げられます。
これは、メディア運営の目的が「商品・サービスの宣伝」や「ユーザーとのコミュニケーション強化」などにあった場合に起こりやすい事態です。こうした目的のためのライティングでは、結果が明確な数字となって表れにくく、時間と共に担当者が意欲を失うケースがよくあります。
手ごたえのないまま業務を続けるのは楽しいことではなく、こうした事態に陥るのは決して特殊ではありません。これを防ぐには、メディア運営に対する社内の理解度を上げ、協力的な雰囲気やしっかりした評価体制を作ることが重要となります。