屋根の雪下ろしに必要な道具・注意点9選
近年は大雪のニュースに接する機会が増えていますが、そうした場合に付きまとうのが除雪の問題です。特に自宅の屋根に積もった雪の除去は難問で、何とかしたいと考えている方も多いと思います。屋根の雪下ろしは自身で行うこともできますが、その際はいくつかのポイントを事前に踏まえておかなくてはなりません。
本記事では、屋根の雪下ろしにあたって必要な道具や注意点について解説します。自分で行うか業者に頼むかで迷っている方も参考にしてみてください。
必要な道具
屋根の雪下ろしを行うにあたっては、専用の道具が必要です。雪下ろし用の道具は現在さまざまなものが販売されていて、状況に合うものを選ぶことが求められます。また、安全に配慮した道具も欠かせません。ここでは、そろえておきたい雪下ろし用の道具を紹介します。
スコップ
屋根の雪下ろしに必要な道具としては、まず「スコップ」が挙げられます。多くの場合、雪下ろしの作業はスコップを使って行われます。
一口にスコップと言っても、材質や形状にはさまざまな種類があり、状況によって適したものが異なります。「雪はねスコップ」や「スノースコップ」と呼ばれるのは、プラスチックなどの軽い素材で扱いやすさを重視したスコップになります。こちらは、雪の量が比較的少量である時に向いています。
一方、「角スコップ」は形状が四角く作りも頑丈であり、固い雪を掬うのに便利です。刃先が尖っている「剣スコップ」は、さらに固く多量の雪の際に効果を発揮します。
スノーダンプ
「スノーダンプ」も屋根の雪下ろしによく使われますが、こちらは塵取りのような形状をしていて、ある程度広い範囲の雪をまとめて落とすのに向いた道具になります。
使い方は、雪に対し横方向へ突き刺して崩し、ダンプに乗った分を押して運ぶというものになります。また、縦方向に雪に突き刺し、てこの原理で手前に倒して、崩れた分を運ぶというやり方もあります。
スノーダンプはスコップに比べてあまり力を必要としないので、女性にも扱いやすいのが特徴です。材質はプラスチックが主流で、持ち運びもしやすくなっています。
命綱
スコップなどとともに、「命綱」も忘れずそろえておくべき道具の1つになります。
屋根の雪下ろしは高所での作業の上に足場も悪いため、転落の危険が常について回ります。実際のところ屋根からの転落は、除雪作業中の事故要因において最も多いものとなっています。
そのため、事前の安全対策が欠かせません。命綱はその1つで、安全帯と組み合わせて使用します。ザイルロープなどの丈夫なものを、屋根の上にとどまる長さで結び、片方の端はアンカー(無ければ木の杭などの固定物に)しっかり固定しておきましょう。
ヘルメットの着用も必須です。
雪庇切り
屋根の雪下ろしの道具でそろえておきたい道具には、「雪庇切り」も含まれます。
「雪庇」とは、壁面に対し庇のように突き出して積もった雪を指します。軒先の雪庇は放っておくと落下の危険がありますし、換気口を覆ったり窓を割るなどの被害をもたらす恐れもあります。
雪庇切りは、長い柄の先にギザギザのあるへら状のヘッドが付いた道具で、地上から軒先の雪庇やつららを落とすことができます。高所作業のリスクを押さえたい場合に便利となっています。
注意点
家根の雪下ろしには、高い危険が伴います。作業を行うにあたっては、十分な事前の準備や作業中の配慮が欠かせません。以下に主な注意点を挙げて解説しますが、無理をしないことも大切です。少しでも不安に感じたら、業者に任せるなどの方法を取りましょう。
作業は必ず2人以上で
屋根の雪下ろしを行うにあたっては、2人以上での作業を怠らないことが重要になります。
上でも述べたように、雪下ろしは危険が伴う作業です。1人だけで行うと、事故を起こす確率が高まりますし、何かあった場合もすぐに助けが得られません。
一方、2人以上で作業にあたれば、お互い安全に注意しつつ動けるので、事故の確率を減らせます。屋根に上る者と地上で補助する者とに分かれれば、万が一の場合も助けやすい上に、作業の効率も上がります。
こうした体制が取れない場合は、業者に雪下ろしを頼むのも方法の1つです。
雪を落とす場所を毎回確認する
屋根の雪下ろしの注意点としては、「雪が落ちる場所の確認を怠らない」というのも重要です。
雪の重みはかなりのもので、雪質によっても異なりますが、軽くても1立方メートルあたり50㎏ほどになります。そのため、落とす際は、必ず毎回その場所に何もないことを確認しなくてはなりません。車などに当たれば、破損の可能性があります。
屋根下が道路に面している場合は、特に細心の注意が必要となります。通行人にあたると大けがのおそれがあるので、地上で補助する人とコミュニケーションを取りつつ、安全に配慮して雪を落としてください。
屋根下の雪の処理は最後に
「屋根下の雪は作業の最後に処理する」というのも、雪下ろしに際しての注意点の1つです。これは安全面・効率面の双方から見て大事なポイントとなります。
安全面で言えば、屋根下の雪を最後まで残しておくことで、万が一落下した際にもクッションの効果を期待することができます。もしも先に屋根下の雪を除雪していれば、落下の際固い地面に激突することとなり、非常に危険です。
一方効率面からすると、先に地面の雪を除去しても、同じ場所に屋根の雪が再び落ちてくることになるので、作業が重複してしまい結局二度手間となります。
梯子を固定しておく
家根の雪下ろしではまず屋根に上る必要がありますが、その際梯子や脚立をかけるにあたっては、しっかりと固定しておかなくてはなりません。これもまた、重要な注意点の1つとなります。
梯子がまっすぐかかっておらず、上っている途中でずれてしまうと、転落の危険があります。また、梯子から屋根に移る際は足場が不安定になり、やはり転落の危険が生じるので、上る際は必ず補助の人に梯子を支えてもらいましょう。設置場所の滑りやすさについても確認が必要です。
このほか、道具を持ったまま上らないというのも大事なポイントになります。道具は屋根に上ったあと、地上の人から受け取るようにしてください。
命綱をつなげる
上でも述べた通り、屋根の雪下ろしにあたっては、命綱が必須の道具となります。屋根に上ったあとは、すぐに命綱をアンカーにつなげておきましょう。
命綱は、これも上述のように、滑りにくく結び目がほどけにくいザイルなどを使うのがおすすめです。命綱は腰に巻き付けるだけでは不十分なので、高所作業用の安全帯を使用してつないでください。命綱や安全帯、カラビナ(命綱をアンカーや安全帯につなぐ道具)はホームセンターや登山用品店でそろえられます。命綱の長さは、屋根の端からはみ出さない程度が適当です。
なお、家根にアンカーがない場合は要注意です。前述のように木の杭などに結ぶ方法もありますが、その場合はかならず事前に強度を試した上で実行するようにしましょう。